第13章 春
夏油side
実家と風海のご両親に挨拶に行くときには緊張したが、今はやり切った感があり、可愛い彼女を腕の中に独り占めできることが嬉しくてたまらなかった。
ご両親に挨拶を済ませたが、風海にプロポーズらしいことをしていないことに気がつき、思いつきではあったものの空の上でプロポーズをした。
綺麗な涙を流しながら了承してくれた。
風海がキスをしてくれて、離れようとする時に後頭部を押さえて、少しも離れないようにした。
愛しい人を必ず幸せにしようと誓った。
寒さゆえなのか、昂っているのか、頬を上気させとろんとした表情でこちらを見上げる風海。今そんな風に見られても応えられない…今まで、雰囲気を大切にしてきた。今日はそうならない予感しかなかった。部屋に入った瞬間に襲ってしまう自覚があった。悟には悪いが、ようやく自分のものになったような錯覚。めちゃくちゃに抱いてしまいそうだったから、事前に伝えておこう。
傑「可愛い…すっかり身体が冷えてしまっているね?帰ったら一緒にお風呂に入ろう。…今日はしてもいいかい?風海を感じたい。」
こくんと頷き、抱きついてくる。
『傑さん、暖めて?』
いつもは恥ずかしがる風海も、今日ばかりは許してくれるだろう。でも、忘れられない日にしてあげたい。
これから増えていく記念日のひとつになるように
風海の記憶に残る交わりになるように
この日ほど気持ちいいと感じたことがないくらい
君を満たしたい
君で満たされたい
人を愛することを知って、今までの行いを反省した。硝子にクズと言われても特に気にしていなかったが、風海と出会って考え方がガラリと変わった。彼女を大切にしたい。親友と取り合うという事態に陥りながらも、そこはブレなかった。
愛おしさが溢れてくる。
傑「もちろん。離れるなよ?」