第13章 春
『傑さん、今日はありがとう♡』
傑「こちらこそ。…久しぶりに緊張したな。」
ふぅ…とため息をつきながらネクタイを緩める傑さんをみて、つい目を逸らした。なんだか見てはいけないものを見た気がする。カッコ良過ぎて目眩が…
傑「風海?こっち向いて?」
いやいや、向けないよ。こんな真っ赤な顔で…
傑さんの仕草で悶絶してるなんて絶対言えない。
傑「なんでそんなに真っ赤なの?
私の奥さんは♡」
思わぬパワーワードに肩を揺らしてしまった。傑さんは私を殺りにきてると確信した。
『…傑さん、もうこれ以上ドキドキさせないで?呪霊から落っこちちゃう…』
顔を見ずに伝えると、しっかりと抱きしめて耳元でとんでもないことを囁いた。
傑「ちゃんと言ってなかったからね。風海、愛してるよ?私と結婚してくれるかい?」
もうダメだ…涙が出てしまう。
あえて見ないようにしていたけど、これは思わず振り返ってしまった。
『…私も…私も愛しています♡』
そう言いながら首の後ろに手を回して抱きついた。
傑「ふふっ…それで?返事は?」
『もちろん!結婚します!』
傑「ありがとう。必ず守るからね。
どんな時も笑顔でいられる家族にしよう。」
何度も頷き、止まらない涙を必死で止めようとする。.
なんて幸せなんだろう。
まだ16歳。傑さんが結婚できる年齢まであと1年…こんなに早く婚約すると思ってなかった。絵本の中のプリンセスみたいにロマンチックなプロポーズ。空を飛びながらプロポーズされる人なんて、この世に一握りだと思う。
『傑さん…大好きです♡
私を選んでくれてありがとう』
そう言ってキスをした。
すぐに離れるつもりだったけど、後頭部を手で押さえられて舌を差し込まれる。夢中でキスをした。
唾液が溢れるのも気にせず、気持ちよさに身を任せる。
傑さんの大きな手は私の頭を片手で支え、もう片方で手を繋いでくれている。私も傑さんの頬に手を添えて少しの隙間もできないようにした。
ちゅっと音を立てて離れる。
傑「可愛い…すっかり身体が冷えてしまっているね?帰ったら一緒にお風呂に入ろう。…今日はしてもいいかい?風海を感じたい。」
そんな風に言われて断れないよ…私もさっきのキスでその気になってしまったから…こくんと頷き、再度傑さんに抱きつく。
『傑さん、暖めて?』