第13章 春
傑「まぁ…慣れるものではないですね。でも強くなるためですから…」
そう言った傑さんはどこか苦しげだった。
父「君だってまだ高校生だ。少し甘えてもいいんだよ?強くあろうとすることは立派だし、風海にとっても頼りがいがあるが…無理はよくない。辛いことや苦しいことは、ちゃんと吐き出して共有するんだよ?」
いつもの優しくて、人の変化を見逃さないお父さんらしい言葉に嬉しくなった。
傑さんは少し目を見開いてから笑った。心からの笑顔に見えた。
傑「ありがとうございます。少し背伸びしている部分はあります。何せライバルはこの時代に生まれた最強の呪術師だったんです。強くなって彼女を守ることに全振りしてましたから笑 だけど、そのように私の気持ちに寄り添ってくれたり気がついてくれるところは風海と同じですね。そんなところにいつも助けられています。」
お父さんもお母さんも傑さんとすごく打ち解けて、とても嬉しかった。傑さんの礼儀正しいところや芯のあるところ、私の大好きな人をしっかり見てくれる両親で本当によかった。
結局、夜ご飯を食べて帰ることになった。今日は任務が入らないようにお願いしてあるから、明日の授業に間に合うように帰れば大丈夫。
たくさんおしゃべりして、お父さんもお母さんも“傑さん”って呼ぶようになった。私がそう呼んでとお願いした。だって結婚したら、夏油じゃなくなるでしょ?初めから慣らしておかないと、途中で呼び方を変えるのは難しいから。
お母さんはなぜか張り切って何度も傑さんを呼んでいたし、お父さんは最初恥ずかしそうだった。けど時間を過ごすうちに普通に呼んでいた。
私の!傑さんなのに、お父さんとお母さんに取られたみたいでちょっとやきもち。
帰る時間は遅くなってしまったけど、すごく大事な時間だった。
傑「今日はありがとうございました。神社のことも含めて、また連絡させてください。」
父「傑さん、風海をよろしく頼むよ。学生なのに危険な任務を背負い込まなければならなくて大変だと思うが、私たちは君の味方だからね!」
『じゃあまたね!』
帰りは傑さんの呪霊に乗って帰る。何度乗っても慣れないけど、怖がる私を抱きしめてくれるのは嬉しいから我慢しよう。
家族に別れを告げて、ようやく傑さんを独り占めできる時間になり、ここぞとばかりにくっついた。