• テキストサイズ

真珠の涙

第13章 春




お母さんの話の終わりが見えないので、思い切って口を挟んだ。

『あのね、今日は傑さんを紹介したくて…』

傑「風海、私から話してもいいかい?」

手を握られ、顔を覗き込まれる。すごく真剣な表情。
傑さんも緊張してるんだ…
安心させてあげられるようにしよう。

『ありがとうございます』

傑「本日はお時間をいただきありがとうございます。私はいずれ、風海さんとの結婚を考えています。今まだ17歳なので、来年以降…出来るだけ早く一緒になりたいと思っています。家庭の事情もお有りかと思いますので、婿に入ることも躊躇いません。午前中に私の実家で話を通してきました。
現在、風海さんを守るために同室で過ごせるかと高専側に交渉中です。その前にご両親にご挨拶がしたくて、本日お時間をいただきました。まだ気が早いかもしれませんが、風海さんと結婚させてください。」

と言って頭を下げた。
慌てて私も頭を下げたけど、嬉し過ぎて涙が滲む。
こんなに幸せなことってない!
傑さん、大好きです!!

父「夏油くん、頭を上げてくれ。風海を大切に思ってくれて、私たち家族のことも気にかけてくれてありがとう。君、ご兄弟は?ご両親は納得してくれたのか?…その〜五条くんも…?」

年末に悟さんとお父さんがお話したようだったから、悟さんのことも気にかけてくれてるのかな?

傑「風海さんを守るために五条家に嫁ぐことが幸せだったかもしれません。けれど3人で決めました。3人で生きていくことを。そして五条家の跡取りは風海に産んでもらいたいと考えています。戸籍に何度か×がついてしまうかもしれませんが、それでも私たちはそれを望んでいます。」

父「出産時だけ五条になると…?」

傑「そうですね。今調整中なのですが、五条家お抱えの病院で出産すれば粗方自由がきくのではないかと。」

なるほど。五条家すごい…
というよりも、先に私に教えて欲しかった!
詳しく聞こうとすると、いつも“風海は何も心配いらないからね”しか言わないんだよなぁ…

お父さんが唸っている。

父「…風海、2人に愛されるということはメリットだけではない。結婚することは、ただ好きだから、だけではないんだぞ?ちゃんと覚悟はあるのか?」
/ 393ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp