第13章 春
車で送ってもらい、傑さんのご実家に着いた。
大きなお庭付きの一軒家。
よかった…普通のお家で。いや、十分大きなお家なんだけど、悟さんのお家が規格外だったし…私の中では、傑さんが紳士すぎるから御曹司説が消えてなかった。
緊張してお腹が痛い。
傑さんがインターホンを鳴らすとすぐにドアが開き、お母様が出てきた。
いよいよきてしまった…緊張の瞬間。
傑母「お帰りなさい。風海ちゃん、よく来てくれたわね!」
傑「ただいま。風海、とりあえず中に入ろう。寒いだろ?」
『初めまして。武神風海です。
これ、お口に合うかわからないのですが、どうぞ。
お邪魔します!』
緊張し過ぎて何を言ってるのかわからなくなってきた。
傑さんのお母様は、傑さんに似てとっても優しそう。緊張してる私に“まぁ、ありがとうね♡可愛いわぁ〜娘がいるみたいで嬉しい♡お土産、遠慮なくいただくわね!”と言ってくれた。
中に通されコートを脱ごうとするものの、指が上手く動かない。緊張し過ぎて手が震える。
傑「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ?こんなに手が冷えてしまっているじゃないか!…ほら貸して?」
そう言ってコートのボタンを外して脱がしてくれた。
『ありがとうございます…』
こんなことまでしてもらってるなんて知れたら、もっとしっかりした子がいいんじゃない?って言われてしまう…しっかりしないと!
傑さんの後ろについて、リビングへ。
広いリビングにはお父様がいらして、お母様はキッチンでお茶の準備をしてくれていた。
傑「ただいま、父さん。この前話した風海だ。」
うぅ…お母様より緊張する…
『初めまして。武神風海と申します。』
傑父「こんにちは。風海さん。傑と仲良くしてくれてありがとう。」
『いえ!よくしていただいてるのは、私ですから…』
お世辞でもなんでもなく、本心。本当によくしてくれているし、私の方が傑さんのことを大好きなの。
紅茶のいい香りがして、お母様のお手伝いを申し出たが“お客様は座っていてね”と言われ、傑さんにも座るよう言われた。
今から大事な話をする。