第13章 春
2月までは何かと忙しかったけど、いよいよ3月!年度末!
去年の卒業式の時に傑さんが花束をくれたんだよね。
今年は色々あったけど、充実した1年だった。
たくさんの変化があって戸惑ったけど、心が少しだけ強くなった。
友だちができた。
大切な人ができた。
守りたい人が増えた。
次は私が先輩になる番。
先輩たちが私たちにしてくれたように、頼りになる背中を見せてあげたい。何人入ってくるかわからないけど、一緒に成長できたらいいな!
その前に、傑さんと一緒に家に行く約束をしている。私の家にもだけど、年末に行けなかった傑さんのご実家にも。傑さんのお休みがなかなか取れないから、1日でどちらにも行くことになっている。
先に傑さんのご実家に行ってから、私の家に行くことになった。前回のことがあったから、高専の車を出してもらえることになった。
そういえばモデルさんとのスキャンダルは大きな騒ぎにならなかったなぁと思って傑さんに聞くと、高専が動いてくれていたらしい。そりゃ、高専で囲いたい能力だろうけど…こんなこともできちゃうんだ。
すごいな高専。
出発の日。
何度も鏡を確認して、傑さんに確認をする。前も同じやりとりをした気がする。
『ねぇ、変じゃない?』
傑「いつも通り可愛いよ、風海♡
私は大丈夫?」
今日、スーツを着てくれてる傑さんがカッコ良過ぎて直視できない…
『…いつも通り素敵です♡』
つい2人きりの世界に入っていたけど、悟さんの声で我に返った。
悟「さっさと行けよ。見せつけてんの?まじでムカつく」
見せつけるとかじゃないけど…悟さんも寝起きで気だるい感じが色気ダダ漏れで素敵…♡でも本当に機嫌が悪くなってきてる。
『悟さんも今度、スーツ着て欲しいです♡』
そう言うと、ガバッと起き上がった悟さん。
悟「…ネクタイの結び方、覚えておけよ?俺だけにやって!」
そんなに食いついてくると思わなかった。私がスーツの悟さんを見たかっただけなのに…
『はい!練習…』
練習しておきますね、と言おうと思ったのに、途中で遮られた。
悟「俺で練習しろ!!約束な!
じゃ、風海のこと頼むな。」
そのまま洗面所へ向かった。
傑さんと顔を見合わせて困ったように笑う。
傑「まったく独占欲が強くて困るな…辛くなったら言って?」