第12章 2月
夏油side
担任へ電話で報告すると、仕事の振り方に疑問を持っていた上層部を試したとのこと。やはり彼女を狙っているものが、内部にもいたということだ。
捕らえた呪詛師と共に高専に戻ることを伝え、悟に連絡をした。
あえて2手に分けた理由は、私と悟を分けるため?
呪詛師があえて特級と一戦交えることなんてないに等しい。
よほど相性のいい術式か。
でもどちらに行くかはわからなかったはず。
ハメられた?
話しているうちに、点と点が繋がった。
風海が危ない。
私たちを遠方に仕向け、部屋に1人になるのを狙ったか。
内部に指示したものがいるのなら、そういったこともできるはず。あえて風海を外したメンバーを行かせることも想定内だったということか。
悟と分担して連絡を入れる。
担任に連絡すると、すぐに寮へ向かってくれた。信用できる人は1年生の2人のみ。任務に出ていないことを祈る。
庵先輩が七海に、硝子が灰原に連絡をすることになっている。風海へは悟が電話をかけることになった。
灰原が電話をかけたまま風海の部屋へ行くと、ノックしても出ないし部屋に鍵がかかっているとのこと。眠っていてもおかしくはない時間ではあるが。悟も電話に出ないと言っている。
こんな日に限って連絡がつかないと不安になる。考え過ぎかもしれない。だが、無事が確認できればそれでいいんだ。
灰原が電話口で担任がついたと言っている。
ドアを蹴破り中へ入ったようだ。
“風海は無事だ。寝ていたようだが…んん゛っ!灰原、電話を切れ”
と言って切れてしまった。
無事だと言うことを悟に伝え、急いで高専に向かう。今度は何があったというのだ。
風海の部屋に着くと、担任と灰原がいた。ドアを蹴破ってしまったため、そのままにしておくことはできず、私たちを待っていたとのこと。
部屋にはちょっとした飾り付けがされていて、バレンタインを祝おうとしてくれているのがわかり、嬉しくなった。おそらく灰原がネタバレしそうになったから電話を切るように言ったんだ。なかなか気の利く男だな。
夜「お前たち、いつもこんなに狭い部屋で寝泊まりしてるのか?ドアが壊れたから、広めの部屋があるか確認しておく。今回のようなこともあるから、同室の方が都合がいいとしよう。」