第12章 2月
夏油side
風海に見送られて任務へ向かった。
あんなに寂しそうな顔をしている彼女を置いていくこの仕事が恨めしく感じている。いっそのこと辞めてしまおうか。私は彼女1人を守れればそれで良い。
眉間に皺が寄っていたようで、硝子に指で突かれる。
硝「おまえ、何考えてる?五条はわかりやすいけど、夏油は何考えてるかわかんないんだよね。風海は頑張ってる夏油が好きなんだと思うよ?」
さすがクラスメイト。親友と言うべきか。硝子は気を使わないからいい。異性の友だちは今までいたことはなかった。みんなそのうち色目を使ってくるから。でも硝子は違った。
傑「…ふふ。すごいな硝子は。」
硝「だから、何考えてるかわかんないんだけど!」
任務自体は滞りなく終わった。
情報が明確で。男女で訪れた神社で階段を登り終わる時に女性が消えてしまうと言うもの。呪霊を取り込み、任務完了の連絡をしようと思ったが、違和感がある。女性が消える気配がなかった。硝子も気がついている?まだ何かの気配がある。おそらく呪詛師。
傑「離れるなよ?」
硝「うぇっ…任務とはいえ、ちょっとカッコつけすぎじゃない?」
もし今回の任務、風海が来るような采配だったら、攫われていた?任務を振ったのは担任だった。だけど、ただの男女ペアでいいなら硝子よりも戦える風海が選ばれたはずだ。悟がごねた時もそうはならなかった。
今回のは仕組まれた任務。それを確かめるために、俺たちに行かせたのか。おそらく悟も同じ状況のはず。
ゆっくり階段を下って、相手の出方を見る。無事車についたが、こちらから仕掛けた方がいいだろうか。確信はないが問いただすくらいなら、もし一般人だったとしても聞いてみる価値はあるか。
硝子を車に乗せて、待機。悟に連絡をするように伝えた。
傑「…なんですか?コソコソと。」
隠れているであろう場所へ声をかける。すると飛び出してきた男。後ろに下がり、様子を見る。車の窓が空き、
硝「五条も同じ状況みたい。アイツは捕らえたってよ。」
硝子も私の煽り方をよく知ってる。
風海の危険を減らすためだ。
そして悟に負けたくない。
階段に逃げ込まれ、足場の悪い中での戦闘。でもすぐに決着はついた。呪霊を巻きつかせて車へ連れていく。