第12章 2月
傑さんと悟さんは任務へ行ってしまった。
任務ならしょうがない。
しょうがないけど、寂しいな。イベントやお祝いも、学生じゃなくなったらもっとできなくなるんだろうな…。
しかも歌姫さんと硝子さんと一緒に…
こんなこと思っちゃいけないんだろうけど、こんな日に他の女の人と一緒にいて欲しく無いなって。任務だからしょうがないし、傑さんも悟さんも私のところにちゃんと帰ってきてくれると信じてるけど…欲張りだな、私は。
1人部屋に戻って、作る予定のなかったお料理を無心で作って、ゆっくりお風呂に入ることにした。普段あまり使わないバスソルトを使って、スクラブでお手入れしたり、とにかく時間を使った。
何もしないで待ってると不安になってしまうから。こんな時にいつも助けてくれる硝子さんも任務だし…
どうしよう。寂しいし不安…
今日中に帰ってきてくれるかな?
私が不安になっちゃダメだよね。
2人は頑張ってるんだから…
こーゆー日にお部屋の片付けをするから、もう片付ける場所もない。なんか…何しよう。映画でも見ようかな。
ベッドに寝そべりながらテレビを見つめる。ケータイにつけたぬいぐるみをちょんっと触って
『早く無事に帰ってきますように…』
と願いを込めた。
映画の中で女性が嫉妬をするシーンがあった。
私と一緒だ…自分以外の女性とは2人きりになってほしく無いよね。たとえ幼馴染でも。
…あっ!
…あの日悟さんから浮気だと言われたんだ。陸くんと出かけた日。ようやく悟さんの気持ちがわかった。その気が無くても、2人きりになるということは、こーゆー気持ちになるんだ。
帰ってきたら謝ろう。傑さんにも。
それに聞いてないこともある。私の家に1人で行った理由。
1本映画が見終わってもまだ帰ってこない。特級の2人が呼び出されるなんて、それなりの任務なんだから早く帰ってこれないのは明白だ。
2本目を見る気になれなくて、ミルクティーを入れ直した。
身体が暖まって眠気が襲ってくる。ちょっと眠ったら起きよう。