第11章 不安と仲直り
部屋に戻り、プレゼントを隠す。基本自由にクローゼットの開け閉めをしてるから、見つからない場所って限られてるな…なんとか隠してお風呂へ。冷えた身体を温めていく。ぶくぶくと沈みながら、今日のことを思い返す。久しぶりのショッピングは楽しかった。いつもは大人っぽい2人に合わせて少し背伸びをするけど、陸くんといる時はありのままでいられる。
陸くんの言葉が頭から離れない。
“風海の本命は夏油術師”
そんなことない。自分に言い聞かせる。
悟さんも私のことをすごく大切にしてくれてるし…一緒にいるとドキドキする。でもあれ?それは陸くんも同じ?優しくて、私を大切にしてくれるし、ドキドキしたり安心したりする。
少しの気の迷いを吹き飛ばすべく、お風呂から出ていつも悟さんが飲んでるココアを入れる。
早く帰って来ないかな…
最近2人とも忙しすぎて、あまり一緒にいられない。夜蛾先生に誕生日の日は任務入れないでとお願いしたけど、特級の代わりがいればなって流された。これは任務入れられちゃうかもな…
誕生日まで、私も私なりに頑張って任務に向かおう。特級の代わりにはなれないけど、2人の心の平穏を守りたい。
そろそろ寝ようかなと思ったところで、大好きな人の気配を感じた。けど、なんか…怒ってる?すごい禍々しい呪力を感じるんだけど…
でも、今1番会いたかった人。少しも不安になりたくないのに、私の気持ちを確かめて欲しい。
ドアが音を立てて開き、悟さんが帰ってきた。
『おかえりなさい!』
部屋の入り口まで行き、抱きつこうとした。でもそれは叶わなかった。無限に阻まれた。こんなことは初めてで戸惑う。
悟「おいてめぇ、今日どこで何してた?」
すごく低い声。思わずビクッと肩が震えた。普段は向けられない鋭い視線。誤魔化してもしょうがない。
『今日は陸くんとお買い物に…傑さんのプレゼントを買いに行ってました。』
怖くて目を合わせられない。手をもじもじさせて
悟「へぇ…なんで俺に言わなかった?傑には内緒にしたいなら、俺に言えばよかったじゃん。なんで陸?」
だってぇ…そしたらバレンタインのことバレちゃうもん。内緒で準備したいのに…それに…
『内緒にしてたのはごめんなさい。でも悟さん、傑さんに言っちゃうでしょ?…デートなんだ〜とか、これ買ってたよ〜とか。』
図星だったのか、少し怯んだ悟さん。