第10章 幸せと不幸
朝目が覚めると、傑さんと目が合った。
傑「おはよ♡風海。ぐっすり眠れた?」
『…んん〜おはようございます。いつから起きてたの?寝顔恥ずかしいのに…』
顔を隠すように傑さんの胸に顔を埋める。
傑「可愛くて、ずっと見てられるよ♡」
傑さんはさらっと嬉しいことを言ってくれるんだよね…
『あ…悟さん…』
そして寝ぼけていて気づくの遅くなったけど、悟さんが帰ってきてる!起こしてもいいかな?チラッと傑さんをみると微笑んでくれた。
『…悟さん、おはよ♡起きて?昨日、ごめんなさい』
嬉しいのと気まずいのとで、単語を繋げただけの言葉。身体は傑さんに向けたまま呟いた。
悟「…んん…いつもみたいに起こして…」
えぇ…傑さん見てるのに?戸惑っているとまさかの言葉が降ってきた。
傑「いつもどうやって起こしてるの?ほら…また寝ちゃうよ?」
ただの疑問?それとも意地悪されてる?
また悟さんの寝息が聞こえてきた。
傑さんに見られるのは恥ずかしいけど、ごろんと身体の向きを変えて、悟さんの頬に手を添えキスする。
『悟さん…起きて?おはよ〜♡』
頬におでこ、首、耳…
うっすら目を開けて目が合う。
あ、起きた。
悟「…おはよ…昨日ごめんな。」
そう言って抱きしめられた。
『…うん…私こそ、ごめんなさい…すぐ言えなくて…』
しばらく抱き合っていると、
傑「へぇ…そうやって起こしてるんだ?」
と声がして傑さんに見られていたことに気がついた。慌てて離れようとすると、さらに強い力で押さえつけられる。
悟「逃げんなよ。今充電中なんだから…」
傑「…妬けるね。さて、私は朝食の準備でもしようかな。悟、風海を困らせるなよ?」
そう言ってベッドから出て行ってしまった。
『赤ちゃんのこと、本当にごめんなさい…硝子さんがね、検査薬でわかってから生理がきてしまうことも多いんだって言ってました。でもやっぱり、一度ここに来てくれたことは大切に思いたいなって。』
悟「お前が無事でよかったよ。こんなんじゃ父親にはなれないかもしれないけど、俺は赤ちゃんよりも風海が無事ならそれでいい。…だから強くなれ。俺と同じくらい。」
『うん…強くなる』
抱きしめ合ったまま、再度強くなることを決めた。