第10章 幸せと不幸
五条side
本心を曝け出せる友だちは、高専に入って初めてできた。唯一ちゃんとぶつかり合える傑と俺の顔面に騙されない硝子。貴重な存在だ。
七海や灰原も言いたいこと言い合える関係になった。風海は初恋…今まで女に困ったことなどなかったから、大切な女の子の扱いがわからない。
そんな俺を大好きだと言ってくれる。
そのままでいいと言ってくれる。
私にも甘えてほしいと言ってくれる。
愛おしい以外の言葉で言い表せるか?!
そんな大切な子を俺のせいで泣かせた。
悟「んなのわかってるよ!ぜってぇ離したくねぇし!けど…今日は俺のせいで泣かせた…はぁ〜。あんな悲しそうな顔、年末以来だ。もう絶対あんな顔させないって決めてたのに…」
何度目かのため息。
硝「その時は五条が側についててやったじゃん。今は夏油がいる。ちょっと頭冷やしたらちゃんと謝りなよ?じゃないと夏油に持ってかれるよ?風海には優しすぎるくらい優しいんだから。」
ちょっと想像するだけで顔が青くなっていくのがわかる。というより想像できてしまっただけに恐ろしくなる。
悟「ぜってぇやだ!」
子どもみたいに叫んで立ち上がる。そんな俺をゲラゲラと笑う硝子。
硝「あぁ〜笑える。ならさっさと部屋に戻りな?アイツらちゃんと待ってると思うよ?」
そろそろ外にいるのも限界かもしれない。部屋に行ってから考えよう。風海と離れるのは嫌だ。
悟「硝子!ありがとな!」
硝「タバコ3箱な!」
ようやく本性を現したな、硝子。ココア1本より高ぇじゃねぇか!これは硝子の作戦勝ちだな。
風海の部屋へ行くと、すでに2人は抱き合って眠っていた。何が待ってると思う、だ。寝てんじゃん…。だけど、いつも俺が寝る場所は空けてある。この狭いシングルベッドに3人寝るんだから、みんな横向きで寝ないと入らない。しかも180越えの男が2人入るのだから…正直狭くて眠れないとさえ思うスペースだけど、風海がいることで安心して眠れるんだよな。不思議だ。
しばらく風海の寝顔を眺めてから、いつもの体勢になった。唯一無下限を解く時間。
『…悟さん…』
傑「大丈夫、帰ってくるよ」
パッと見上げると、2人とも寝てる。なんだ寝言か…それにしても寝ながら会話するコイツら、すげぇな。と思い静かに笑って眠りについた。