第10章 幸せと不幸
悟さんに告げると表情が歪み、さらに申し訳なさを感じて涙が溢れた。
『…ごめんなさい…』
昨日だって、お腹に話しかけたり撫でてくれたりしていた。まだちゃんとわからないのに、楽しみにしてくれていたのがわかっていた。
悟「…ごめん、俺…ちょっと出てくる。」
傑「待て、悟…」
そう言って医務室から出ていってしまった。
それだけショックだったんだ…私もだけど、そう思わせてしまったことが申し訳ない。
傑「あとで私から話をしてみるよ。風海は疲れただろ?今日はゆっくり休もう。硝子、部屋に戻ってもいいかい?」
硝「何かあったらすぐ連絡して」
そう言って解散となった。
傑さんが横抱きにしてくれて自室へ戻る。もう身体はなんともないのに、心のダメージが大きかったようで、誰かの温もりを感じていたかった。傑さんが抱きしめてくれてよかったと思った。
ベッドに降ろされ、頭にキスされた。
傑「今日は大変な1日だったね。何か飲む?」
ここでゆっくり休むのが正解なのかもしれない。けど、なんかもやもやするの。悟さんが気になる。そして、何があったのかを聞いてもらいたい。傑さんは私のことをよくわかってくれているなと感じた。
『今日は朝から任務に割り当てられて、廃ビルに行ったんです。男女で肝試しをしていた人が行方不明だって。だから3人で行動してました。呪詛師が現れて、灰原くんと呪霊を祓いに行ったんですけど、実際、呪霊はいたけど、祓った後に行方不明者は出てこなかったし、2級というには弱すぎだと感じました。そもそも、私の居場所がどうして呪詛師にバレたのか、補助監督さんも動きも筒抜けで…車の中で縛られていたんです。』
傑「…うーん。内部にリンクしたものがいそうだね。七海と灰原が違和感を感じていないか確認する必要がありそうだな。と言うよりも…仕組まれた任務だった可能性もあるな?」
とにかく、狙われるとか攫われるというのが現実味を帯びてきた。悟さんに怒られてしまったけど、これからも任務に出続けなければいけないから、今回のようなことが多くなるかもしれない。
だから強くなれと口うるさく言われるんだよね。それが悟さんの優しさなんだよね?ちゃんとわかってるのに…ごめんなさい…