第10章 幸せと不幸
夏油side
傑「…少し落ち着いた?洗ってあげるから、服を脱がすよ?」
濡れた服を1枚ずつ脱がしていく。シャツがピタリと身体に張り付いて、こんな状況じゃなきゃ興奮していたと思う。いや、実際は興奮しているけど、抑えられているといった方が正しい。
パンツを脱がせた時に血が付いていることに気がついたが見て見ぬふりをした。風海に見せないようにそっと端に寄せて、身体を洗う。
私たちに教育されているからか、敏感なところに触れるとぴくりと反応する。声こそ出ないものの、その反応にこちらまで熱を帯びてしまう。
…まずいな…
悲しんでいる彼女を見て勃ってるなんて、変態だと思われても仕方がない。気が付かないでくれ…と思う時に限ってバレるんだ。
急に振り返った風海が正面から抱きついてきて、身体が密着状態になった。彼女のお腹あたりにあたっているだろう。
『…あ…』
小さく呟いた彼女の声で、気が付かれたことに恥ずかしさを覚える。
傑「すまない、風海。生理現象だから気にしないで。こんな時にごめんね?」
首を横に振って、ぎゅっと抱きついてきた。泡がついたままの君は刺激が強すぎるよ。
『パパにしてあげられなくて、ごめんなさい。』
君はどこまでも優しいな。
自分のことより、人のことを考えてくれる。
抱きしめ直してから、泡をシャワーで流す。
傑「私こそ…君たちを守ってやれなくて、すまなかった。まずはゆっくり休もう。身体も心も疲れているはずだ。」
タオルで拭いて、医務室の服を着せる。私の分がないことに気がついたが、すでにびしょ濡れでこのまま出ていけば確実に怒られるやつだ。
どうせ硝子しかいないんだしと思い、風海を拭いたタオルを腰に巻きつけ、出ようとしたところ、
『…傑さん、そんな格好…他の人に見られるのは嫌』
なんて可愛いことを言うから、愛おしさが増す。先に風海に出てもらい、服を貸してもらった。
医務室には悟も待っていた。若干不貞腐れているところを見ると、硝子に小言を言われたか…
ドライヤーで髪を乾かす間、悟と目が合わないようにしている風海の様子が気になった。