第10章 幸せと不幸
五条side
つい心配な気持ちから強く出てしまって、引っ込みがつかなくなった時に
七「五条さん、心配だったのはわかります。力不足だったのはこちらです。彼女を責めないでください。」
と言って風海を抱きしめやがった。泣いている風海を抱きしめるのは俺たちの役割だろ?触るなよ。でも今更謝れねぇ。
悟「はっ…?!なに?紳士面しちゃって…そーやって傷舐め合ってろ。お前らいつか死ぬよ?」
弱けりゃ死ぬ。
天内の任務の時に嫌ってほど味わった。それはお前も同じだろ?それなのに…
肩を震わせて、声を出さないように泣いている風海を見ていられなくて、窓の外に目線をやった。
高専に着くと風海が補助監督に必死に謝っていた。
『血だらけにしちゃってごめんなさい。後で片付け手伝いにきますので…』
別に今までも血だらけになったことがあるであろう車だ。気にもしていないだろう。さっきの会話を聞いていた補助監督も、強く出れないだろうし。イライラしていたから、そーゆー健気なところもいつもなら可愛いなと思えるのに、今は他の男に尻尾振ってバカみてぇだと思った。
医務室では硝子が準備して待っていてくれた。灰原が帰り道に連絡を入れていたし、風海には七海がついてくれている。
硝子と風海が小声で話しているが、聞こえなかった。硝子が抱きしめて複雑そうな表情を浮かべた。風海は泣いているのか肩が震えてる。
ここにいても何もできない自分に苛立ち始め、俺は少し頭を冷やそうと、医務室から出ようとした。
硝「待て、五条。一緒にいてやれ。七海、灰原は報告書な」
悟「あ?そのうち傑が来んだろ?」
そう言って外へ出た。
出て行く時に少しだけ見えた風海が悲しそうだったが、今は当たり散らしてしまいそうだったから、硝子に任せることにした。