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真珠の涙

第10章 幸せと不幸



『もう!諦めてよ!』

「結構やるじゃん♪もうちょいスピードあげてくよ!」

やっぱり本気じゃなかった…大体傑さんと同じくらいの身長だから、リーチの差は歴然。今より速く動かれたら長刀の長さを活かした攻撃はできない。

何度もぶつかり合うものの、力負けするのはわかっているから、受け流すのが精一杯。相手の懐に入るのが難しい。

「そろそろ集中力が途切れてきたか?君の弱点はこっちだろ?」

そう言いながら、七海くんと灰原くん目掛けてナイフを投げた。慌てて追いかけたものの追いつけるはずもなく、長刀で振り落とそうにも難しい。思わず相手に背を向けてしまったのがまずかった。

七「風海!!後ろ!」

『…いっ!!』

左腕にナイフが掠る。刺さったわけじゃないのに、掠っただけでこの出血…随分と切れ味がいいみたい。また左腕に傷が増えてしまう。

「誰も1本だなんて言ってないだろ?戦い方を知らないお嬢さん♡」

七海くんは自分でナイフを避けていたので、怪我はなかった。あぁよかった…。でもこれじゃあ両手で長刀を握れない。
できないじゃない、やるんだ。
傑さんか悟さんが絶対来てくれる。それまでこの人をここに留めておかないと…どんな狙いでやってきたのか。なぜ私の居場所がわかったのか。

悟さん曰く、ゴミみたいな体力の私がそろそろ限界に近づいてきている。肩で息をして距離を取る。

一気に距離を詰められ蹴飛ばされ、壁に背中を打ちつけた。
立ち上がって次の一歩を踏み出そうとすると、急に強い殺気を感じて双方動きを止めた。

悟「おい、誰に手を出したかわかってんのか、てめぇ。それにケガしてんじゃねぇか!」

「これはこれは有名人。五条悟か。」

悟「マイハニー♡お待たせ!それにしても、七海と灰原は何してんだよ?!風海ちゃんがこんなに頑張ってるのに!」

と抱きしめながら言ってくれる。よかった、来てくれた。安心して嬉しくて涙が出た。

『悟さん、遅いよぉ〜ぐすん…』

悟「いやぁ、任務が遠方でさ。誰かの嫌がらせかもしんねぇな。ところでアンタさ、うちの可愛い姫に傷つけた責任取れよ?」

安心したからなのか、出血がひどいからなのか、フラフラになりながら七海くんたちのところへ向かう。安心して出た涙を2人にかけると、七海くんはすぐに回復して、灰原くんも少ししてから目が覚めた。
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