第10章 幸せと不幸
硝子side
風海がトイレでゲロってると五条が部屋に飛び込んできて、今朝連絡が来ていたことを思い返していた。とりあえずどんな症状なのかわからないので、あるだけの薬を持って部屋へ向かう。
身体がダルさ、微熱、吐き気。頭痛とか喉の痛みはないと。
ちょうど七海と灰原も来たので、普段の様子を聞くと
灰「そうですね!夏油さんと五条さんがいかにかっこいいかを話していました!先日のパーティーの様子とか…」
静かに布団を頭まで被る風海が可愛らしいが、この状況でそのエピソードをチョイスする灰原は、天然なのかバカなのか。
そしてクズ2人はホワホワしちゃって…本当にバカばっか。
七海だけはまともか…それにしても眠気?
この症状って…
まさかとは思うけど。
男どもを部屋から追い出し、風海に最終月経日を確認すると、青くなっていく。考えたくないけど…1番戸惑うのは風海だ。私は何があってもこの子の味方でいないと。
硝「え?まじ?で、いつなの?」
『11月末だから、すごく遅れてます…それに…』
11月末?!
すでにつわりが始まってるってことか…
でもどっちの子ども?てっきりちゃんと避妊していると思ってた。いや、してたけど失敗したのかも。あの2人は風海を大切にしてる。ものすごく。だから信じられない。まさか別の誰か?
風海は心当たりがあるかもしれないけど、ここで詰めてしまったら、自分を責めてしまうかもしれない。
今は風海の気持ちが休まるように。
硝「とりあえず、検査薬買ってくるから待ってて?まだ誰にも言うなよ?…私がいない間、誰に側にいてもらう?」
『…1人でいいです。』
硝「それはダメ。あんたどーせ泣くでしょ?七海と灰原にいてもらう?」
冷静な七海なら気がついてしまうかもしれないが、それなりに気を使えると思う。今は灰原の能天気さに救われるかもしれない。
しばらくの間を空けて頷いた。やはりあの2人と顔を合わせたくないか。
何度かトイレまで往復して飲んだ水を吐いてしまうこと数回。コンビニ組が帰ってきた。