第9章 パーティー
夏油side
風海と交わって、湯に浸かりながら話をしていると、私の心を見透かすようなことを言われた。
傑「…あぁ…君にはなんでもお見通しだな」
嘘をついても見抜かれそうだったので、素直に話すことにした。悩みというにはちっぽけかもしれない。風海と離れていた期間を考えると、悩みなんてほどではないほどだ。
傑「悩みって言うほどではないんだ。理子ちゃんのことがあってから、がむしゃらに強くなろうと足掻いてきたけど、何のために強くあろうとするのか時々わからなくなる時がある。」
そう、何のために?
負けた悔しさ?
風海が攫われてしまった後悔?
悟に対抗するため?
強さの先に何を求めているのか?
弱きを守り、強きを挫く。
どちらが弱者でどちらが強者だ?
『だったら、私を守るために強くあろうとしてください。私は傑さんに守ってもらわないと死んじゃう自信があります!』
そう言って笑った君が、天使かと思うほど美しかった。言っていることはすごく自己中なのに…君はすでに私が守らなくともいいくらい強いのに、頼りにしてくれることが嬉しい。でも間違いなく守るべき対象だ。
なぜなら、私の婚約者だから。
『だってそうでしょう?私は傑さんの婚約者なんだから』
思っていたことを口に出して言う彼女が愛おしくて仕方がない。純粋な笑顔を見ていると、やはり悩みと言うほどのものではないかもしれないとさえ思えた。彼女さえいてくれたら、この世界が終わってもいい。弱き人間を守らなくともいい。
傑「ふふっ…やっぱり君には叶わないな…愛してるよ、風海」
絶対に離れないようにしよう。
私の命に代えても。
そして同じくらい大切な仲間も。
傑「悟にも同じことを言ってあげて?自由人な彼だけど、最強として生まれた宿命というか、期待に押しつぶされそうな時があるはずなんだ。私たちで支えてあげようね?」
『はい…でも悟さんは欲望に素直な気がします笑』
たしかに…
2人で顔を見合わせて笑った。