第9章 パーティー
傑さんが恥をかかないように小さな声で断りを入れてくれたのに、
直「お前に話しとるんちゃうわ。風海ちゃんに聞いてんの」
と反論してくる。
本当に腹立つなぁ…
傑さんが冷静に話してくれてるのに。
『先ほどのお父様のお話をきちんとご理解ください。私が面食いだと言うなら、そうでしょう。2人ともとても素敵な方なので。だから、直哉さんと一緒にはなれません。』
少し声を張って周りに聞こえるように、盛大に振った。
だってこの人は私の大切な人たちを傷つけた。
最初は言葉の意味を理解できなくてポカンとした表情だったが、周りの人たちがクスクスと笑い始めて、怒りの表情に変わる。
周りの人から笑われることに慣れていないのだろう。
真っ赤になりながら震えている。
言いすぎたかな?
もしかしたら目立ちすぎたかも。
傑「やるじゃないかw」
必死に笑いを堪えている傑さん。堪えきれてないけど。
『傑さん、行きましょう?』
なんだか今なら堂々と歩ける気がする。
その場から離れようとした時、
直「おい待て!そこの男たらし!俺に恥かかせやがって!覚悟しいや!」
そんないじめっ子のような言葉を吐きながら向かってくる。
それも術式を使って。
“きゃー”と周囲から悲鳴が上がるものの私は冷静だった。
傑さんが止めてくれるから。
それに…今私は海のものを身につけていて、ものすごい呪力を秘めている。直哉さん…この会場にいる人を圧倒できるくらいには。
あえて放出してみようか。
傑さんにアイコンタクトをすると首を振って拒否される。
もしも階級が上がれば、一人で任務に出ることが増えてしまうから。ここには上層部や高専関係者もいるため強さで目立つことはできない。
もう傑さんに任せるしかなさそうだ。
呪霊操術を使わなくとも、体術で対応できる。
傑さんと直哉さんが戦っているが、誰も止めない。
目にも止まらぬ速さで乱闘が続く。
正直、傑さんが負けるとは思ってない。直哉さんの実力がどんなものなのかは知らないけど、特級ではない時点で傑さんの方が格上。
悟さんも気がついていたようで、こちらに手を振ってきたが別に止めようと思っていないようだった。ステージ上にも関わらず、悟さんから私にメールが届き、“先にボディーガードと部屋に戻ってる?”と。“傑さんと行く”と返信すると、親指を立てて返事をされた。