第9章 パーティー
そうかな?いつも甘えさせてくれてると思うのに…。まあ、人前ではしないかもしれないけど。
傑「もっとくっついていいからね?」
と嬉しそうな声がする。
傑さんの香りに安心して、気合いを入れ直す。
そろそろ時間かな?
「会場にお集まりの皆様、本日はご参加いただきありがとうございます。ご歓談の時間は後ほど取りたいと思いますので、今はこちらに耳をお貸しいただきますようお願い致します。」
司会の方が声をかけて、ざわざわとした会場が静かになった。
「本日、五条家ご当主様より重要な報告があると伺っております。こちらへお願い致します。」
いよいよきたっ!
私も傑さんとステージの前まで行き、傑さんはステージ下で待機。私は悟さんに手を取られてステージへ上がった。
悟父「せっかく皆々様お集まりですので、私から発表したいことがございます。」
ざわつく会場。
おそらく結婚の発表だと思われただろう。
だって私たち、寄り添って立ってるもの。
悟父「この度、武神家と手を取り合っていくことと相成りました。そもそも武神家とは人魚の家系でございますが、少し歴史のお話をしたいと思います。」
歴史を知っている御三家の方々は“やられたっ!”という表情。悟さんと寄り添っていることで、まだ五条家の嫁になることは信じていそう。そうするとパワーバランスが崩れる。無下限呪術と六眼を持っている悟さん、傷を癒す涙と不老不死の血を持つ私。五条家の右に出るものはいなくなる。
五条家の関係者は私の歌声を聴き、信じているので自信に満ち溢れて悟さんのお父様のお話を聞いている。
チラリと傑さんを見ると、周りに鋭く目を光らせている。抜かりないところが傑さんらしい。
悟父「五条家でも悟の婚約者として迎えたかったのですが、ご存知の通りお互いに名を残していきたい一族ですので…現在、高専2年の夏油術師が武神家に婿入りするか検討中でございます。」
ここでざわつきが大きくなる。
特級といいつつも、非術師の家系の傑さんがなぜ?と思われるかもしれない。でも、傑さんが叩かれるのを黙って聞いてるなんてできない。
一歩前へ出ようとすると、悟さんにガッチリ腰をホールドされた。