第9章 パーティー
そんな私の気持ちを察してくれたのか、腕を解いて腰に手を回してぐいっと引き寄せられた。ちょうどエレベーターがきたので乗り込むと、扉が閉まる前に優しくキスをしてくれる。
エレベーターの外からは“きゃー”とか“かっこいい!”
と声が聞こえて、傑さんがわざと見せつけてくれたんだとわかる。
他にも乗る人がいたんだろうけど、こんな甘い雰囲気の中、乗り込もうとする勇気のある人はいないだろう。
『傑さん…キス、ありがと。』
そう言いながら、肩にもたれかかる。
傑「今日はヒールを履いて目線が近いから、つい…ね。君だって注目を浴びているのに気がついているかい?牽制するのも大変なんだ。他人に見せたくないという気持ちと見せびらかしたい気持ちの半々だね。」
と言って笑った。
そんなことないと思うけど…でも見せびらかしたい気持ちと秘密にしたい気持ちはわかる。私も傑さんと悟さんに挟まれて歩くと気後れしてしまうけど、しっかりしなきゃという気持ちになる。
ひとまずお部屋に着いたらゆっくりしてパーティーに備えよう。自信を持って歩けるように。
エレベーターが到着したのは最上階。
傑「悟が部屋を取ると、スケールが違いすぎて驚いてしまうな。」
初めてのスイートルームだった。
待って。悟さん高校生なのに、どーゆー金銭感覚してるの?確かに五条家に行った時もすごく大きなお家で驚いたけど…
特級術師だし、お金たくさんもらってるんだろうけどさ…金銭感覚は同じになるのは難しそう。
『ちょっと休憩するだけですよね?』
2人で目を合わせて呆れたような表情になった。
よかった。傑さんは私と同じ感覚で。
でもせっかくだからスイートルームを楽しみたくなった。だってもう、入るしかないんだし!
2人で部屋の中を周る。
お風呂はすごく広くてガラス張り。初めて見るシャワーがある。
寝室はなぜか2つもあって、ベッドはキングサイズ!
リビングのようなところとキッチンもある。
なんか…凄すぎて疲れそう。
ベッドに腰掛けて、2人で持ってきていたペットボトルの水を飲む。
傑「せっかくだから、冷蔵庫に入っているものを飲めばよかったね。悟のお金だし笑」
といたずらっ子みたいに言う傑さんと一緒に笑った。