第1章 出会い
夏油side
大きな部屋に通され、座る位置まで指定される。
何か嫌な予感がする。
硝子と顔を見合わせ、風海に関することを説明するんだろうが、わざわざ悟が来るのを嫌がっている本家で、わざわざ着物を着て、わざわざこんなに広い部屋で行う理由があるのか?
そう考えていると、悟と両親らしき人が入ってきた。
父「この度は五条家に足をお運びいただき感謝する。私は悟の父で、こちらが妻だ。じつは普段連絡のつかない悟から連絡してきてね。内容を聞いてすぐに対応させてもらった。」
父「武神殿、先祖代々、五条家に尽くしていただき感謝致します。また、守ってやれず大変申し訳なかった。五条家一同陳謝致します。」
おそらくあの話をするんだろう。
だけどわざわざここで?
やはり嫌な予感は消えない。
悟が頭を上げ、風海を射抜くようなまっすぐな眼。
あんな表情は初めて見た。
優しく、まるで大切な人を見ているような…
これはまずいな。
悟「そして遺言の通り、風海さんを婚約者として五条家に迎えたい。」
やはり嫌な予感ほどよく当たる。
婚約者だと?
傑「…失礼ながら、口を挟ませていただきたい。婚約者とはどういった経緯で?」
自分から禍々しいものが出ていないか不安になるほど、自分の感情がコントロール出来ていない。五条家の当主の前だ。冷静に…