第1章 出会い
みんながいる部屋に到着して顔を合わせたのに
誰も言葉を発しない。
そんなに似合ってないだろうか?まだちゃんと鏡で見てないからわからないけど、あんなに美しいお着物、私が着こなせるわけがないか…と落ち込みながら下を向く。
傑「… 風海…なんて美しいんだ…」
そう顔を赤らめて言ってくれる傑さん。
硝「あんた、ちゃんと鏡で見た?!
もう!お前らは見るな!変態!」
と、なぜか怒っている硝子さん。
なんで変態?
悟「やっぱ俺が選んだ着物にしたのか!さすが俺!センスいいわ〜」
あんまり褒められると恥ずかしいから、悟さんくらいの方がいい。
よかった…似合ってないわけではなくて。
「悟様、こちらの方も整いました。ご案内致します。」
また部屋の移動…
今度はなんだろう?
ここの家は何部屋あるんだろう?
本当、旅館みたいだなぁ〜
大きな部屋に通され、ここで待つように伝えられる。
3人の並んで座る位置も指定された。
なぜか私一人だけ前を向かされて、横向きに傑さんと硝子さんが座る。
すると襖が開き、悟さんと和服姿の男女が入ってきた。
私の前に3人並んで座る。
父「この度は五条家に足をお運びいただき感謝する。私は悟の父で、こちらが妻だ。じつは普段連絡のつかない悟から連絡してきてね。内容を聞いてすぐに対応させてもらった。」
どうしていいかわからなくてポカンとしていると
父「武神殿、先祖代々、五条家に尽くしていただき感謝致します。また、守ってやれず大変申し訳なかった。五条家一同陳謝致します。」
と言って頭を下げられた。
なんで?!先祖代々って?守ってやれず?
『あのっ!頭をあげてください!私、なんのことやらさっぱり…』
すると悟さんが頭を上げ、綺麗な瞳でこちらを見る。
目が合い、ドキッとしてしまうほど優しく微笑んでいる。こんな表情初めて見た。
悟「そして遺言の通り、風海さんを婚約者として五条家に迎えます。」
…は?え?今なんて?
五条家の皆さんはにっこり笑っているけど、本気?
傑「…失礼ながら、口を挟ませていただきたい。婚約者とはどういった経緯で?」