第1章 眠り姫
以前主が日光と一緒に見たいもの、行きたい場所、やりたいことがたくさんあると言っていたのを思い出す。
自分も主が行きたいと言った場所へなら何処へでも同行しようと思ったたし、自分が守ると決めたものは、この身に代えても守る。
そう決意している。
「ふぅ、美味しかった。お皿片付けてくるね」
「ああ」
湯呑みと皿が乗っているお盆を持って、また厨房へ行ってしまった。
「…現世、か」
机の上にある書類を揃えながら、主がいたという現世とはどんな世界なのか想像した。
この本丸とは違う生活様式であることはなんとなく想像できるが、どんな家庭とどんな部屋に住んでいるのかも気になってくる。
「さて、仕事の続きをしなきゃ」
「無理はするな」
「大丈夫よ、ちゃんと休憩もしたし」
厨房から戻り、机に着く主。
また書類と睨み合う主の姿を見て、日光は肩を落とした。