第1章 眠り姫
その後も花畑や日本庭園、温室を見て回った。
主も真剣に見ていたり、時折開花した花を見ては可愛いと呟いていたりして楽しんでくれているようで何よりだった。
普段の主は審神者としての仕事でバタバタしているから、こんなゆったりと出来る時間は大切にしてほしい。
「お花を愛でるのもいいね、癒されたよ」
「ああ」
主が見ている花を自分も一緒に眺めている。
このまま。
このまま、2人でいたい。
そう願ってしまった日光の手が、主の手をキュッと強く握る。
「日光」
「ん?どうした?歩き疲れたか?どこかで休憩するか?」
甘味処の縁台に腰を下ろして、歩き疲れた足を休めた。
隣には主がふぅ…と肩で息を吐きながら安堵した表情を見せている。
「今日は連れてってくれてありがとう」
「…俺の方こそ付き合ってもらい、感謝する。また、一緒に出かけよう」
「うん、ぜひ」
甘味処で一服し、休憩を終えると植物園の出入口付近でお土産を買って植物園を後にした。