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日と月【刀剣乱舞】

第1章 眠り姫



だからこそ守らなくては。
守ると決めた、とても大切で愛しい存在だから。

「日光は平気?」
「何がだ」

主は公私混同させないために、自分達が恋仲だということは伏せたいと話した。

「なるほど。俺は知られても構わないがな」
「…長義は察しのいい刀なら、すぐに気付くって言ってたよ」
「あぁ、こうして2人でいることが増えると勘ぐる奴はいるだろうな」

恋仲だと知られても、私生活に支障をきたす訳でもない。
別れたい、と言われない限りは。

「公私混同を避けたいのなら、俺が素っ気ない態度を取っても気にしないことだ」
「…日光、元々素っ気ないけどね」

主は仕事時は今までと変わらない態度で接してくれと言ってきた。
愛刀になったからと特別視はしない、と。

「………」
「…何かしら」

素っ気ないとか愛想がないのは事実だし、
よく言われることだから返す言葉は出てこなかった。

「主は、しっかりとした人間なのだな」
「そ、そうかな?」

長義が他にも主を好いている刀がいると言うのも、納得がいく。

主は優しいし、頑張り屋だから見守っていないとすぐに無理をする。
そのくせ、涙脆くて自己犠牲の精神も強い。

長義は主の人間性を早く見抜いていて、だからあの時も主を泣かせるなら容赦しないと強く言えたのか、と。

「せめて、こうして話すことは許してくれ。主と話す機会が減るのは、流石の俺も辛い」
「……仕事中は話すくらいなら、構わないけど」

主は、仕事が終わればいくらでも話せるのにと笑っていた。

酉の刻、正刻。現世で言う18時。
刻の鐘の音が6つ鳴る。

「あ、私は執務室に戻るね」
「……ああ」

主のその後ろ姿を見送った。

「主、どこに行ってたんだ。遠征に行っていた連中が帰ってきているぞ」
「ごめんごめん。ちょっとね」

少し離れた場所から、山姥切国広の声が聞こえた。
近侍はあいつだったか、と息を吐く。

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