第1章 眠り姫
一世一代の思いで主に告白をした。
振られたら振られたで、ただの臣下に戻るだけだという気持ちだった。
長義に鼓舞激励されなければ、告白しようとも思わなかっただろう。
「びっくりしたよ…本当に。
審神者としての振る舞いがまだまだだとか、駄目出しされるのかと緊張したんだから」
「そんな事はない。主は、審神者としての役目を全うしている。
これが駄目出しならば、告白する以前に執務中に飛び出ているはずだ」
それもそうか、と納得された。
駄目出しなら仕事中に幾らでも出来るが、今は主の月見酒に付き合っている。
こんなにも穏やかな雰囲気を駄目出しでぶち壊したくないし、壊せる訳がない。
「この穏やかな雰囲気を、壊したくない」
主と過ごす時間を大事にしたい、ただそれだけだ。
「日光に告白されたのがまだ夢みたい」
日光は主の頬に触れて力加減をした上で、主の頬を抓ってみせる。
主が少し痛みを感じる程度で。
「いてて」
「主が痛みを伴うならば、現実だ」
日光が抓った場所を自分で撫でている。
隣に少し拗ねたような顔をした主がいて、皮肉にも可愛いと思ってしまう。
「もう、私の頬を抓らなくてもいいじゃない」
「…悪かった」
主の肩に手を添えて、そっと口付けをした。