第1章 眠り姫
「良い湯だったな」
湯上がりで戦闘装束から軽装に変わった一文字一家の御三方。
湯に浸かり、疲れを癒して欲しいという主の気遣いだったのか風呂は一番風呂で。
主は今も近侍の山姥切長義と話していて、まだ仕事をしているようだった。
「小鳥は、まだ仕事をしているのかな?」
「…そのようですね」
山鳥毛は濡れた髪のまま、主に手伝えることはないかと助太刀に向かう。
「小鳥、何か手伝おうか」
「ありがとう。もうすぐ終わるから大丈夫よ。
山鳥毛達も、湯冷めしないよう気を付けて」
「…そうか。何かあったらすぐに呼ぶんだぞ。くれぐれも、無理はしないように」
「はーい」
主の頭を撫でて日光や南泉の許へ戻ると、大丈夫だと言っていると話した。
「小鳥が湯冷めしないようにと気遣ってくれているから、我々は部屋に戻ろう」
「主が大丈夫って言うなら大丈夫、にゃ。長義もいるしな」