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日と月【刀剣乱舞】

第1章 眠り姫



「……………」
「どうかしたかな、そんなにまじまじと見て。
ほら、せっかくの茶が冷めるぞ。温かいうちに飲むといい」
「ああ、うん。ありがとう」

小休憩を挟み、湯呑みを手に取るとお茶を一口啜る。
これは鶯丸が淹れたなと分かるくらい、渋みがなくまろやかで優しい味がした。



「………ふぅ。ご馳走様」
「君は、食べ方が上品だな」
「そ、そうかな?そんなこと初めて言われたけど…」

そんな所を見られていたなんて、すごく恥ずかしくて頬が熱くなってしまった。

「こう見えて、人間観察は得意でね」
「そう…。あ、これは私が持って行くから。光忠達にお礼を言わなきゃ」

机に置かれたお盆を持って執務室を出る主の後ろ姿を見送る。

「…行動の一つ一つに人間性が現れる。
あいつは…主の人間性に惹かれたんだろうな…」

興味本位で日光の事も観察していたが、
真面目な性格をしている一方で、彼なりに主のことを大切な存在として見ていることも分かった。

「…気付いてくれるといいが」

「何を気付いてくれるといいんだ?」

主と入れ違いに山姥切国広が入ってきて、出陣の報告書を近侍の長義に手渡す。

「確認しよう」

書類に目を通し、終了済みの判を押した。
本来ならば確認作業は主の仕事であるが、執務室に主不在の場合は近侍が代理をしている。

「…それで?何を気付いてくれるといいんだ?」
「お前には関係ないことだ。
負傷をしている者はいないか。負傷者がいたら手入れ部屋へ連れて行ってくれ。
確認作業は終了だ、戻って構わない」
「………ああ」

日光の行動が、主への好意からくる時も垣間見える時がある。
山姥切国広が出て行き、部屋の扉が閉まるのを確認すると言葉を漏らした。

主には、気付いて欲しい、と。

「さて、休息したし仕事の続き頑張らなきゃ」

食器を片付けに行っていた主が執務室に戻ってきて、再び机の前に戻ってきた。

「ああ。頑張ろうか」

主がまた、詰めすぎないか見守らなくては。

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