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日と月【刀剣乱舞】

第1章 眠り姫



「んんー…っ」

仕事が一段落ついて、背伸びで背筋を伸ばす。

「君は少し詰めすぎだ。休息を入れないと、後に響くぞ」
「あぁ、長義…」
「…なるほど?偽物くんが言っていた通りだな」

お茶と光忠お手製の菓子を乗せたお盆を持った長義が立っている。

主は集中し出すと周りの声が聞こえなくなるくらい集中する時があると山姥切国広から聞き、
そろそろ休憩を促してくれと燭台切光忠や鶯丸にも菓子とお茶を渡されたのだった。

「なぜ、長義が」
「集中しすぎて忘れてしまっているのかな?今日の近侍は俺だろう」
「……あぁ、そうだった。ありがとう」

机の空いた場所にお盆を置いて、書類を覗き込んでくる長義の横顔がすごく綺麗で目を見張る。

山姥切国広も綺麗な顔立ちをしているが、伯仲の出来だと言われているのも納得する。
よく見たら、2人の顔が似ているような気も、しなくはない。

「主、以前俺が偽物くんと手合わせをしていた時に、俺の本体で怪我をしたそうだな。
あの時は悪かった」

あれ以来、主が道場に顔を出す頻度が極端に少なくなった。
以前は手合わせをする刀達を観るのが好きだったのに、怪我をしてからは道場に主が入って来ることはなくなってしまっていた。

「もう治ったから、気にしてないよ?」
「ならば、また道場に顔を出してみてはどうかな。
主がいるといないとでは、やる気が違う刀もいるんでね」

「よく見ているんだね」
「元監査官だから、かな」

長義は聚楽第の任務時に、政府からの監査官として案内をしていたんだったと思い出す。
当時の自分は審神者としてもまだまだ未熟で、刀達の指揮をするのも下手だったなと感慨深くなった。
それでも協力してくれた山姥切国広達のおかげで、この監査官から優評価を頂けたのだが。

後にこの山姥切長義が本丸に配属された時は、驚いたことをよく覚えている。

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