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日と月【刀剣乱舞】

第1章 眠り姫



「俺なんかのために、主が自らの命を犠牲にする必要はない」
「…あのまま日光が折れてしまったら、一文字一家の皆が悲しむよ。
山鳥毛だって重傷に近い状態で帰還したけど、自分よりも日光の手当てを先にって頼み込んできたくらいなんだから」

日光の胸にトンと額を付けて、表情を悟られないように下を向いてその広い背中に腕を回す。

「………私も嫌だった、から…」

聞こえないくらい小さな声で、自分も嫌だと言う。
背中に回した腕にはキュッと力が入ってしまい、自分の気持ちが日光に向いていると思い知らされる。

「…それにね、日光がここにある葡萄で葡萄酒を仕込んで、完成したら一番最初に報告するって約束してくれる夢を見たの」
「ほう…?ならば主が見たと言うその夢を、正夢にしてやらなければならんな。
葡萄酒で良いのなら、いくらでも仕込んでやろう」

まずは容器を買わなくては、と言ってくれた。

「…そろそろ部屋に戻らないと」
「…目が覚めたばかりだからな、無理はするなよ」

腕を緩めて身体を離せば、密着していた日光の身体との間に隙間が出来る。
自分は裸足だと気付いていたが、気にせず歩こうと思った。

このまま主を部屋に帰してしまえば、次に2人きりの時間が取れるのはいつになる事やら。
主の周りには絶えず他の刀達がいるし、しかも今日主の傍にいる近侍は長いことこの本丸にいるという山姥切国広。

今は近侍の山姥切国広に任せて、仕込みのための用意を始めなくては。

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