第15章 ダブリスの獣たち
すぐに追いつける、そう思ったのが浅はかだったのだろうか。
いくら探してもアルフォンスくんの姿が見当たらない。
もしかしたら地上に出たのかもしれない。
そう思い、外に出てみるが逃げた形跡がない。
少しだけ通りの方も探したが、ロアさんもアルフォンスくんも見当たらない。
………というか。
よくよく考えてみれば、陰で生きる者の逃走ルートが地上なわけないじゃん。
絶対、地下のどこかに隠し通路があって、下水道通って逃げたに決まっている。
頭に血が上っていたとはいえ、なんでそんなわかりきっていることが頭から抜け落ちたのかな。
昔の冷静な私はどこへ行ってしまったのだろう。
急いで店に戻った私だったが、その足を止めてしまった。
いつの間にかデビルズネスト付近の場所は青い軍服を着た軍人により封鎖されていた。
店の裏口には大総統閣下の姿が見える。
この軍人を率いていたのはブラッドレイ大総統だったのか。
でも、なんでここに大総統が……?
「アールシャナ中尉」
「はっ」
「話は少し聞かせてもらったよ」
何の話ですか、と聞く余裕はなかった。
なぜなら、大総統閣下の纏う空気がとても重く、腹の奥までプレッシャーを感じたから。
「君も準備をしたまえ。鋼の錬金術師とその弟の保護をする。手の甲にウロボロスの入れ墨を持つ者は捕捉。他はなぎはらえ」
つまり、エルリック兄弟とグリード以外は殺せ、ということか。
上官の命令は絶対だ。
だが、腑に落ちないのは―――……。
「突入!!」
今は、とりあえずエルリック兄弟の安否を確認しないと。
大総統の号令と共に、私は、私たちは、デビルズネストの中へ飛び込んだ。