第15章 ダブリスの獣たち
「………マーテルの言う通り、軍人に向いてねぇよ、あんた。敵に情を移すなんざ」
「…………私もこんな気持ち初めてなんです。戸惑っています。あなたを殺せと命令が下っているのに、殺したくないと思っている自分がいます」
「じゃあ、俺は容赦なくあんたを殺すぜ。俺はあんたに情なんざありはしないからな」
「……アルフォンスくんの居場所を教えてください。あなたを殺したくない……!!」
ドルチェットさんが刀を構えた。
殺気に満ちた緊迫とした空気が肌に纏わりつく。
その時だった。
大きな音を立て、壁が破壊された。
壁を破壊したのはロアさんだった。
そこにアルフォンスくんの姿はない。
どこかでまた監禁でもされているのか、それとも、もう解体されてしまったのか。
ロアさんが血の気が引いている私に気が付き、
「アルフォンスは無事だ。安全な場所に置いてきた」
その言葉にほっと胸を撫でおろす。
もし、ここに大佐やリザさんがいたら「敵の声に耳を傾けるな」と怒るだろう。
でも、私はロアさんを信じた。
そんなウソをつく人じゃないと知っているから。
「だが、悪いな。行かせるわけにいかない」
「なぜ……?」
「俺なりの信念だ」
「そう、ですか……」
彼らがグリードを慕って、グリードのために戦っている。
ならば、私も私の信念のために戦おう。
国や大総統のためじゃない。
兄弟のために―――。