第8章 因果呪縛を解く
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「ねぇ孔、あなた、情報屋を仲介できる?」
伽那夛が星漿体暗殺依頼を取り下げさせた後を見据えて頼ったのは、甚爾の仕事の仲介人である孔 時雨だった。
呪術総監部から追われることになる星漿体を総監部が手を出せないところへ逃がすための根回しを急ピッチで進めなければならないが、それは伽那夛だけでは到底無理。
だから、ある者に協力を求めようと考えついた。
いつもは不在のことも多い彼が伽那夛の前に現れたというのも都合がいい。
が、おそらくこれは甚爾の指示だろうと想像できた。
要は伽那夛が甚爾の邪魔をしないよう見張っているのだ。
伽那夛の言葉を聞いた孔は怪訝な顔をして問い返してくる。
「いきなりどうした?言っておくが、オマエさんが足を踏み入れていい世界じゃないぞ」
「危ない橋っていうのは承知の上よ。でもどうしてもすぐに情報が欲しいの」
「何の情報だ?」
「特級術師 九十九由基の連絡先。彼女と話したくてね、私の話を聞く気になってくれそうな情報もあるとなお良いわ」
「話を聞く気になってくれそうな情報?」
「“弱み”と言い換えても構わないわよ」
伽那夛が協力を求めようとした者、
それは海外を中心に活動している特級術師だった。
彼女なら星漿体を海外に逃がすためのパイプを持っている。
うまいこと協力を取り付けて星漿体を海外に逃がせれば、呪術総監部も手出しできない。
「報酬は……このくらいでどうかしら?」
伽那夛の提示した額面に孔は眉を顰める。
「あのなぁ、相場知らねぇだろ、出し過ぎだ」
「あなたの仲介料も含んでいるわよ?」
「だとしても、だ。逆に胡散臭いぞ」
「私にとってはこのくらいの価値があることなの。相場から外れていることについては特急料金としておけばいいんじゃない?」
「……何を企んでる?」
「あら、仲介役がそこまでクライアントの事情を詮索するの?」
孔はぐっと言葉を飲み込み、代わりにため息を吐いてこめかみを押さえた。
「はぁ、すっかりワルになっちまって……」
最初の頃は可愛げがあったのに、と嘆く孔に伽那夛はにっこりと笑って返した。
「誰かさんのお陰でね」