第8章 因果呪縛を解く
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あの後、孔から口酸っぱく注意を受けたものの、やはりそこはやり手の仲介人、すぐに情報屋を紹介してくれた。
急ぎでという注文通り、紹介を受けたのと同じ日に会う手筈まで整えられており、今まで直接的に孔の手腕を見たことがなかった伽那夛は驚いた。
更に会合場所として指定された場所も想像していなかった所だった。
伽那夛は足を止めてその建物を見上げる。
都心から少し離れた郊外にある教会。
利用者がいなくなって数年前から廃れている教会で、ここが孔に言われた情報屋との会合場所。
周囲に怪しい気配はなく、教会内にも呪力は1つだけだ。
待ち合わせに指定された時間になったことを確認して教会の扉を開く。
がらんとした大きな空間の奥には祭壇があり、左右に等間隔に並ぶ長椅子の列の中程、隅の方にフードを被った人物が1人だけ座っている。
伽那夛が近づくと人影はゆっくりとこちらを向いた。
マスクとサングラスもしていて完全に顔が分からない。
「へぇ、君が。若いねぇ、なんでこんな裏社会に入ってきたんだか」
声は若くも老いてもいない。
女性にしては低いし、男性にしては柔らかい、これまた性別の分からない声だ。
まぁ、おそらくこれきりの付き合いになるので、詮索はしないでおく。
「文句は止してくれる?報酬は用意しているわ。半金は前払い、もう半分は情報をもらってから支払う」
「ああ、仲介人から聞いている。九十九由基の情報が欲しいんだって?」
「そうよ、連絡先と彼女を交渉のテーブルに座らせられるような弱みはあるかしら?」
「交渉?」
「ええ、彼女にあるお願いをしたくてね。話を持ちかける時に力ずくという手段は取りたくないのよ」
「随分と自信家だね、特級術師相手に力ずくなんて、なかなか言えないよ」
「真っ向勝負は無謀だということは分かってる。さすがにそこまで馬鹿じゃないわ」
「成程、不意打ちを狙うと?」
「そう、やりようはいくらでもある。でも、交渉事は信頼も大切だもの。そういう小狡い手は使いたくない」
「弱みを握るというのも正当な手段ではないと思うけどね」
「勿論、使わないに越したことはないけれど、穏便に済ませるためには必要になるかもしれないでしょう?」
「そうだね」