第8章 因果呪縛を解く
ならば、次。
縦横無尽にうごめく頭部をピンポイントで撃ち抜く。
伽那夛を押し潰そうと雪崩れ込んでくる胴体を軽々と躱し、術式で補助しながら頭部まで駆け上がる。
そして衝撃反射を受けぬようわずかに隙間を空けて両方の靴で頭部を挟み、左右の靴のエッジの間に大電流を流した。
「ギャアァアアッ」
焦げ臭さを感じるのと同時に大百足が激しく頭を振り回したため、伽那夛は胴体を蹴って衝撃反射を利用して離れた場所に着地する。
このままヒットアンドアウェイで瞬間的に高圧電流を浴びせ続けることは可能だが、
……はたして、それだけで祓えるか?
もし全て耐えられたら呪力の無駄遣いもいいところ。
こちらが呪力不足で動けなくなったら笑えない。
「ふぅ、片手間には祓えそうにないわね。煩わしい」
「ニンゲン風情がァッ!」
逆上した大百足の動きは破壊的ではあるが、より大雑把になり、伽那夛からすると避けやすくなっていた。
毒の飛沫を散らして迫る左牙を躱し、うねりながら地面を抉る胴体を蹴って避け……
そして、考える。
強力な電流を浴びせ続けるのなら、やはり頭を固定したい。
が、どう固定するにも衝撃反射の術式が邪魔だ。
何か、ないか?
思考しつつ、低級呪霊を見逃さないよう周囲を見渡す。
呪霊の他には草木に土、石、それに破壊した呪物の破片……
「!」
何気なく目に入ったそれに、伽那夛は弾かれたように駆け出した。
一直線に大穴の方に向かう。
あの大岩、なぜ今まで穴の中に大百足を閉じ込め続けられた?
大百足のサイズと衝撃反射があれば、あんな岩、持ち上げて出てきてもおかしくないのに、
……それができない何かがあったのでは?
呪物の大岩についての伝説……“山神が悪霊を倒すために使った武器”。
この伝説に一部分でも本当のことが含まれていたとしたら?
任務だったから壊してしまったが、あの呪物にはこの大百足を抑え込む何かがある。