第8章 因果呪縛を解く
「……と、こういう依頼内容だな」
伽那夛は怪訝な表情に変わる。
そもそも星漿体は同化前に殺されることを防ぐため、存在を隠されているはずだ。
高専関係者であっても知らされない。
それなのになぜこの男は知っている?
「手伝えと言うのなら断るわ」
「急くなよ、そういう話じゃねぇ。星漿体の護衛には五条悟と、あと夏油傑って術師がつく可能性が高い。オマエの持っている情報が欲しい」
「……これはその情報料ということね。料理に口をつけてしまったから言うけど、ものすごく手強いわよ。悟もそうだけど、夏油傑も要注意だと思う」
「どんな術師だ?」
「それはそっちの方が詳しいんじゃない?呪霊操術の使い手で色々な手駒があるだろうし、近接も強いと聞くわ。一般家庭出身で悟と同期なのに一級になっている辺り、全然悟に隠れてない。相当実力者でしょ」
伽那夛の言葉に甚爾は少し瞠目する。
「意外だな、オマエのことだからもうちょい過小評価してるかと思った」
「あのね、確かに私は悟が嫌いだけど、だからといって甘く見る理由にはならないわ」
「夏油傑とは直接殴り合った事あるか?」
「ないわよ。任務で一緒になったこともないわね……ああ、でも今度の交流会でなら可能性はあるかも」
「それじゃ遅ぇんだよ」
実際に闘ったことがあるのなら伽那夛から所感を聞くのが早いと思ったが、そううまくは運ばない。
甚爾は短く息を吐く。
一方で詳しい仕事内容を聞いた伽那夛は相変わらず眉を寄せ、不服そうな顔を隠さなかった。
星漿体暗殺の仕事だというのに聞かれたのは五条悟と夏油傑のこと。
甚爾の仕事ぶりを考えると、この2人を殺すつもりなのだろう。
「……ねぇ、もし私のために仕事を受けるって言うならやめておきなさい」
「なんで?」
「意味がないからよ。確かに悟が死ねば五条家当主の座に近づくかもしれない。でも私は悟に『席はもうないわ』って言ってやりたいの」
「俺は試したくなっただけだ。別にオマエのためじゃねぇ」
「じゃあ、言い方を変えるわ。悟が殺されてみなさい。五条家は全力であなたを探す。そしてあなたに行き当たれば、関係がある私の首も危ない。迷惑な話だわ」
「んなこと知るかよ」
「呆れた。……本当にそんなことできると思っているの?死ぬわよ」