第8章 因果呪縛を解く
少し時を遡る。
孔の連れを装って難なく盤星教に入った伽那夛は、盤星教の幹部で今回の暗殺の依頼者である園田にこんな交渉を持ち掛けていた。
「今日は提案に来たの。星漿体を殺そうとしているそうじゃない。それはあなた達にとってとても悪手だわ」
今の星漿体を殺しても新たな星漿体が順繰りに出てくるから意味がない。
星漿体が出てくる度に殺すとしても、次は徹底的に隠されるから同化前に見つけるのは至難の業。
さらに星漿体の候補には術師も含まれており、その者に順番が回ってきた場合は殺害がより困難になるだろう。
「同化の日までに殺せばいいと思っているなら大間違いよ。単にお日柄が良いというだけだもの、やろうと思えばいつでも同化はできる」
ではどうするかって?
「簡単よ、星漿体を同化させなければいい。幸い今の星漿体は同化に乗り気じゃないわ。護衛の特級術師と一級術師についても星漿体の意思を尊重すると明言している。星漿体が生きた状態で同化を拒否すれば他の星漿体候補に順番が回ることもない」
ここはほんの少し嘘だが、九十九の言った通りなら次の星漿体が見つかる頃には天元は進化を終えて同化不要になっている。
多少の語弊があっても結果は同じだ。
「そんな上辺だけの言葉を信じろと?」
園田は眉を寄せて疑いの目を向ける。
「その明言が呪術的にどういう意味を持つのか、あなたなら分かるんじゃない?」
「“縛り”か……!」