第8章 因果呪縛を解く
翌日―……
天元の同化の儀当日の午前11時、闇サイトの掲示板に掲載していた天内 理子の暗殺依頼が期限を迎えて取り下げられる。
結局甚爾の予想通り、期限内に星漿体を殺せた者はいなかった。
甚爾に掲示板からの取り下げを電話で伝えた孔は、確認の意味も込めて尋ねる。
「同化までもう時間がねぇぞ、大丈夫かよ?」
同化は今夜だ。
しかも夜になる前に招かれた者以外入ることができないという薨星宮の結界に入られたら、いくら甚爾でも侵入できるかどうか。
現在、ターゲットの星漿体は飛行機で飛んでいる。
おそらく空港に着いたらまっすぐ高専に向かうだろう。
その道中に仕留めるしか手がないはずだが……
『計画通りだ。問題ねぇ』
孔の懸念をよそに電話口からは淡々とした返答。
甚爾の殺しの腕は信用しているため、彼が断言するのなら問題はない。
こちらはいつ完了報告を受けてもいいように準備するだけだ。
星漿体の動向を考えると、午後から夕方には高専に入る。
おそらく決着するのはその頃だろう。
星漿体の引き渡しに備えて先に盤星教本部に入っている必要がある。
久々の大きな仕事……しかも無茶振りが多かった仕事がようやく終わりに近づき、孔は車を発進させた。
・
・
・
孔が盤星教本部に到着すると、なぜか既にお連れ様が来ていますと言われた。
もう星漿体暗殺を終えたのかと驚くのも束の間、通された応接室には今回のクライアントである盤星教の園田とその向かいに信じられない人物が座っていた。
「あら、孔、早かったじゃない」
「……なんでオマエがここにいるんだよ?」
そこにいたのは五条伽那夛。
孔は絶句した。
この暗殺には一切気付いていないと思っていた。
いつから勘付いていた?
俺が来ると読んでここに来たのか?
ここにいるってことはお嬢ちゃんの目的は……!
孔の嫌な予感は見事に的中する。
「甚爾が受けている星漿体の暗殺依頼は取り下げよ」