第8章 因果呪縛を解く
そこには廉直女学院の生徒である天内理子を期限までに誘拐するよう求める内容が掲載されていた。
生死問わず、明日の午前11時が期限、賞金は25万ドル……日本円だと約3千万円か。
直近では沖縄から帰ってくるフライトの予定が書き込まれている。
「これ、誰が書き込んだの?」
「だから知らねぇって」
「本当に?」
見せつけるようにバチバチと呪力を流した手を男の顔の前にかざす。
「ヒッ、く、詳しくは知らねぇが、この掲示板は呪詛師に仕事を依頼したいって奴が書き込むんだ。賞金額がでかいからどこぞの財閥とかなんじゃねぇのか」
「ふうん……」
盤星教がこの掲示板を使っている可能性もなくはないが、こういうことを知っていそうな甚爾や孔の方が可能性としては高いか……
だがこれ目当てに集まった呪詛師達も悟のわがままのせいで徒労に終わるのだ。
そう思うと少しばかり溜飲が下がる。
「でも、その制限時間だとこの子はここに来ないわよ」
「……は?」
「フライトが変更になったの。明日の午前11時はまだ飛行機の中。残念だったわね」
衝撃の事実に呪詛師達の反応は様々だった。
顔を青くする者、騙されたと怒り顔を赤くする者、悔しげに床を殴りつける者、呆然とする者。
「クソッ、やってられるか!」
ある1人がそう吐き捨て、出て行こうとするが、その前に伽那夛が立ち塞がる。
「逃す訳ないじゃない」
「はぁ!?未遂だろ!俺達はまだ何もやってない!」
「未遂でも罪になるのよ、殺人未遂とかあるでしょう?それにあなた達は既に呪術規定を破ってる」
非術師の集まる空港で堂々と式神の行使、呪符や呪具の所持、呪術を秘匿するための規定に反している。
逃げ出す者が出る前に伽那夛は手早く全員気絶させ、補助監督に引き渡し、あの掲示板の情報を見た呪詛師が新たに空港に入ってこないか見回った。