第8章 因果呪縛を解く
その数か月後から甚爾に頼んで体術を教えてもらうようになり、今や伽那夛の実力は五条家の中でも指折りだ。
しかし、伽那夛はまだ満足していない。
もっと実力を伸ばすために甚爾にいなくなってもらっては困る。
最悪、伽那夛が困るだけなら自分でなんとかするが、まだ保護者が必要な津美紀や恵もいる。
伽那夛がいくら2人の世話を焼いても、客観的に見れば赤の他人で、しかも未成年。
公的な手続きなど伽那夛ではしてやれないことが多すぎる。
それなのに甚爾は勝手に自らの命を諦めかけている。
「理由は知らないけれど、自棄になっているのよ。多分、死んでも構わないと考えてる。私はそれが嫌なの、何としても阻止してやろうと思ってあなたにこの話を持ち掛けた」
「成程ね、その理由の方がよっぽど納得できるよ」
「でも良かったわ、即答してくれて。正直時間がないのよ。星漿体の同化を阻止したとして国内を逃げ回るのは愚策、そこで海外に逃がすまで思いついたはいいけれど、悟はそこまで考えてないと思うのよね」
なまじ何でもできるから他人をアテにするという選択肢など存在しないのだ。
「君、もしかして五条君とつるんでいるのかい?」
「誰があんな奴と!私は悟の鼻を明かしてやりたいのよ」
嫌悪に顔を歪め、口を尖らせた伽那夛を見て、九十九は吹き出した。
「ごめんごめん、そんなに五条君のことが嫌いだったとは」
「悟には人生を潰されているからね、嫌いにならない方がおかしいわ!」
「苦労してそうだねぇ」