第8章 因果呪縛を解く
「……でも、そうなると今回の私の提案も無駄に終わるということかしら?」
伽那夛が助けようとしているのは居場所が割れてしまった今の星漿体だ。
とりあえず今回の同化を阻止し、海外へ逃せば一時しのぎにはなるかもしれないが、いずれ別の星漿体が現れる。
次はきっと同化が終わるまで徹底的に隠される。
下手すると高専の地下、天元の結界内で軟禁ということも考えられる。
それでは甚爾の阻止はできても、九十九の言う通り、星漿体が生まれ続ける因果は止まらない。
しかし、伽那夛の憂いは九十九の言葉に払拭される。
「君の話を聞く限り、そうでもないと思っているよ。今回は五条君が明確に星漿体の意思を尊重すると言っているんだろ?言葉通り星漿体保護に動くのなら、呪術界もおいそれと次の星漿体を探す訳にもいかない」
実際、九十九が天元との同化を拒否してから次の星漿体が現れるまでかなり時間がかかっている。
五条家当主が自ら動くのなら、この次はもっと時間がかかるだろう。
次の機会にはもう天元は進化を終えて星漿体と同化する必要がなくなっているかもしれない。
九十九の考えを聞いた伽那夛はホッと胸を撫で下ろす。
「私からもいいかい?君はなぜそこまで星漿体に肩入れするの?今の星漿体と知り合いという訳でもないんだろう?」
「……私は今回の星漿体暗殺依頼を請け負っている甚爾を止めたいの」
「君、禪院甚爾と知り合いなの?」
予想外の繋がりに九十九は目を丸くする。
「今は伏黒甚爾よ。昔、助けてもらったことがあってね、それ以来の腐れ縁よ」
「意外だな、君くらいの血筋になると、むしろ殺害対象になりそうなのに」
「彼の気まぐれよ。実際、最初は私を殺そうか迷ったみたいだから」