第8章 因果呪縛を解く
「海外では呪霊の発生がほとんど無い。呪霊を視認できる人間も呪力操作をできる術師もほぼいない。日本だけが異常に多いんだ」
「……日本も海外に倣えばいいという話に聞こえるけれど、どうやって呪力をなくすのよ?」
なんとなく話の内容は分かったが、その方法が伽那夛には皆目見当がつかない。
「どうすればいいか分からないって顔だね。呪力を全く持たない人間、君にも心当たりがあるだろう?」
「甚爾のこと?でもあれは生まれつきの天与呪縛でしょう?」
「もちろん彼のように完全に呪力ゼロというのはなかなか難しいと思っているよ。でもね、諸外国では非術師並の呪力を持った人間が数多くいるにもかかわらず呪霊がいないんだ」
妙な話だ。
海外には日本と同じように病院や学校があり、その上日本よりも呪霊が発生しやすそうな場所……戦闘中の地域だってある。
呪力の漏出はあるのにそれが呪霊になっていないというのか。
「……それは呪術的な環境の違い?日本が呪霊の生まれやすい特殊な土地ということかしら?」
「そう、日本と他の国との呪術的な違い……私は天元の結界の有無だと考えている」
「っ、それはそうかもしれないけれど、まさか天元様を殺す気……?」
情報屋は九十九が天元との同化を拒んだと言っていた。
危うく生贄になりかけた彼女からすれば、元凶の天元を殺したくなるのも分からなくはない。
しかし、そんなことをすれば結界で守られている各所の防護がなくなる。
どこに呪霊が流れていくか分からなくなり、術師の手に負えなくなってくるだろう。
一気に険しい顔になった伽那夛とは対照的に九十九は軽く笑って首を横に振った。
「そうできれば手っ取り早いかもだが、不死の術式を持つ天元をどうやって殺すの?」
「……確かにそうね」