第8章 因果呪縛を解く
「まずは連絡先だ」
紙の切れ端に走り書きした電話番号を渡される。
今すぐにでも電話して確かめたいが、孔からそれはタブーと言われているので我慢する。
信用していないと明言するようなものだからルール違反らしい。
信憑性ついては腕利きの情報屋なので、問題ないと言っていた。
伽那夛が連絡先のメモを一瞥して仕舞うのを見て、情報屋は続ける。
「それと弱みではないが、いい情報がある。君のような立場では絶対に知り得ないことだ」
「なぜ私の立場を知っているのか少し気になる所だけど、まぁ、そこは料金外だものね……その情報で九十九特級術師は交渉テーブルに着いてくれるかしらね?」
「保証はしかねるが、確率はそれなりに高いと思う」
「じゃあお願い」
「九十九由基は、元星漿体だ」
「……なっ、元星漿体!?」
予想だにしない単語に伽那夛は大きく瞠目し、思わず身を乗り出した。
「それって少し前にも同化の儀が行われる可能性があったってこと!?」
「違う。実際にかつて同化の儀があったが、彼女は天元との同化を拒否したんだ」
「何よ、それ……!」
そんなことがあったなんて知らない。
高専や五条家に情報が下りていないということは総監部で握り潰されたということだ。
この話が本当ならこれまでの九十九に対する認識が大きく覆ってくる。
国内の呪霊祓除任務を受けず、海外を放浪しているろくでなしの特級術師……ではなく、同化を拒否した星漿体だから日本に居られず、海外に出るしかなかったという話に変わるのだ。
同時に確信する。
この情報をちらつかせれば、かなりの確率で今の星漿体の海外亡命の協力を取り付けられる。
ここまで驚くほど順調に運んでいるが、時間がないのも変わらない。
早く九十九に連絡を取らねば……!
「ありがとう、とっても有益な情報だわ」
情報屋に礼を言って伽那夛は教会を出た。