第25章 新しい生活は
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「で?みなみさんに彼の名前を知られたくない理由は?」
「いや…知られたくねえっつうか…昴さんがあの場で明かさなかったって事は昴さんなりの何か考えがあるんだろ」
「考えねえ…さっさと明かして、あの安室透とかいう男から引き剥がせば良いじゃない。ま、三角関係がどうなるかは見所でもあるけど」
「オイオイ…三角関係って…お前なんか楽しんでねえか?」
「失礼ね、彼女の行く末を見届けたいって所よ。ま、男女の繰り広げる愛憎劇は見所ね」
「愛憎って…ンな事なる訳ねえだろ」
「あら、それはどうかしらね。貴方も気をつけなさい、放っておきすぎると大変な事になるわよ」
「っ…うるせ わーってるよ、ンな事」
「あらそう。女って生き物は分からないものよ、名探偵さんも気をつけなさい。どうせ今これを聞いている貴方も」
「ったく…」
「ああ、言われなくてもな」
相変わらずだな、彼女は。
18歳、いや、まだ小学一年生の子供に言われてしまうとはな
この広い家もみなみが居ない中で過ごすのは持て余してしまうな
安室君から剥がして連れ戻したいところだが…
記憶を戻す鍵が見つからない限り、タイミングを誤れば更に遠ざかる恐れもある。
みなみと出会った時同様、沖矢に心を許しているみたいだ。
このまま着実に取り入れていけば堕ちるのも時間の問題だろう
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来た道を歩いていくと、必然的にポアロを通る事になる。
安室さんにはあの時返事したけど…
丁度返信が来た。
迎えに行くからそこで待っていてとの事。
とりあえず…
青になった信号を渡って、そこにある路地に入って
煙草に火をつけた。
太陽の光が入る事の無い薄暗い路地に、白い煙が上がっては消えていくのを
目で追っていると近くから走る足音が聞こえてきた