第25章 新しい生活は
「問題はそこだ。奴らはみなみさんを探している可能性がある」
『えっ?どうすれば…』
「みなみさんを安全な場所に匿うのが一番だと思っているよ」
『匿う…?』
「そうだ。公安のセーフハウスで暫く居てもらうのが安全かな」
『暫くって、どのくらいですか?』
「それはまだ分からないな…でも今はみなみさんの安全が第一だよ」
突然の提案に正直頭が追いついていない。
それって安全と引替えに多分自由が奪われてしまうというか…
彼への不信感は消えていっているけど、不安な部分は多々ある
安室さんの顔つきはどこか怒りを感じる様な気がした。
ただでさえ大変なのに、余計に手間を増やしてしまったんだ
『本当に、ごめんなさい』
「みなみさん、君が謝る必要は無いと言っているだろう。寧ろ謝るのは僕の方だよ」
『あの時、勝手に家を出ていなければ…』
「みなみさん、顔上げて」
後悔と不安が押し寄せてきて彼の顔が見れない。
席を移動した安室さんが隣に腰を下ろすと、そのまま腕に包まれた
「大丈夫さ、みなみさんの事は守るよ。怖い思いをさせたね」
安室さんの体温と、どこか懐かしい様な彼の匂いが伝わってきて
視界が徐々に霞んでいく。
どうしてこれだけで安心出来るのだろう
さっきまではあんなに不信に思っていたのに。
この懐かしさに近い様な感覚はなんなのだろう。
思い出せない記憶の片隅に、何か深い思い出が残っているのかな
『安室さん…』
「僕の事はもう安室じゃなくて良いよ。零って呼んで」
『零…?』
顔を上げると、優しい顔をした零が微笑んでいるのが
涙でぼやけた視界の中見えた
「そうだよ」
頭上から降ってくる優しい声とポンポンと背中を叩いてくれる手が心地良くて。
あんなに不安に思ってたのが、今では…
どうしてこんなに安心出来るのだろう。
この先に待ち受けている事なんて今は分かりもしないのに