第25章 新しい生活は
『えっ!嘘!どうしよう?!』
送ったものは取り消せないしどうしようもない
直ぐに追加で何かを送らなければいけないのに
脳内が焦り一色になってしまって思い浮かばない。
“ごめんなさい 間違えて送ってしまいました”
いやいや、これはダメだがっつり名前入れちゃってるしそれは通用しない
“記憶が無くなってしまいました”
これは却下。
“無視してください!”
これも却下だ…気を遣わせてしまう
『あ…』
一人であれこれ言いながらやってる内に、既読が着いてしまった…
すぐさまトーク画面を閉じた。
心臓がバクバクしている
一体なんと返ってくるのだろうか
まだ数十秒の事なのに、その時間がとても長く感じる
あたふたしていると漸くスマホが音を発した
胸に当てながら握り締めていたスマホをそっと覗く
新着メッセージは紛れもない、沖矢さんからだった
“こんにちは みなみさんが元気そうで何よりです
不在着信の件ですが、何やら私の誤操作なのでお気になさらず”
…。
なんだろう、この少し寂しい感じは
気のせいだという事にしよう。
たった数分の出来事に慌てていた自分が少し恥ずかしく感じてきた
結構あっさりだなぁ…なんて呑気な事を考えてしまった。
そもそも顔も分からない、関係性すらも分からない相手だしなぁ…
それにこの返事の感じからして、これ以上彼に聞く事は難しそう。
また行き詰まってしまった。
外に出ようにも前回の事もあって怖いのも事実。
真純ちゃんに聞くしか無いのかな
あの子も私の事を知っているみたいだし
ぼやぼやと考えながらソファに腰を下ろすと
そのまま沈んでいってしまった。
天井を見ながらぼーっとしてしまう
ただ静かな空間に一人。
寂しいと言えば寂しい
自分はどんな生活を送っていたんだろう
もしあまり良くない生活をしていたのなら、もしかしたら
今のこの生活の方が良かったり…
なんて、このふざけた思考は本気なのか眠気から来るものなのか
その答えは意識を手放した瞬間に後者だったという事が分かった。