第24章 その先に待っているもの
「みなみさんは僕が悪い人なのか って聞いたよね」
『はい』
「そうだなぁ。まあ、僕を悪人だと思う人間が居るのは事実だ」
視線を交わさないまま、どこか強い眼差しに変わった安室さんは
再び口を開いた。
「例えそれが正義の為だとしてもだ。僕には何としてでも守らなければならないものがある。でもね、みなみさん」
前を向いていた安室さんの瞳がこっちを向いたのが分かった。
「みなみさんの前では、僕はありのままで居られたんだ。
正義の為なら悪人にもならなければならない僕の日常にある日突然
みなみさんという大事な存在が現れた」
「まあそんなに畏まらないで聞いてくれ」
見た事ない彼の姿に少しの驚きと
見えそうで見えない何かを必死に噛み砕こうとしていたのだろう
それが安室さんにはそう見えていたのかもしれない
「みなみさんの消息が絶たれた時、僕は正直気が気では無かったよ
元居た場所に帰ってしまったんじゃないか、ってね」
『あー…どう、なんでしょうね』
「だからこうしてまたみなみさんと再開出来てホッとしているよ」
今度はまた少し穏やかな雰囲気になった。
「まあ、少し変わってしまっているけどね。
きっと君はまた僕に聞きたい事が増えただろう?
でも僕がみなみさんに話せるのはここまでかもしれないな。
正直、嫌になる程目まぐるしい日々に現れたみなみさんという存在に救われてきたよ
だから今度は僕がみなみさんを助けるよ」
確かに彼に聞きたい事は増えた
でも、これ以上聞くな。という様な何か圧のようなものも感じられた。
混乱した頭の中では安室さんの言葉を必死に理解しようとしても困難だ。
けど、安室さんは悪人なのではないか?と言う疑問がほんの少し晴れた気がする
全てを信用出来る訳でも無いけど、今の状況の自分が頼れるのは
正直な所安室さんだけ。