第24章 その先に待っているもの
人の気持ちは移り変わる。
それは仕方のない事だ。
きっとこれがみなみさんにとっての最善なのだろうから。
腕の中に収まるみなみさんの首から覗かせたその痣が僕をそう思わせた。
それに今まで見た事も無いブレスレットもだ。
一瞬でも高まった心臓はこれらによって平常に収まった。
自分に対して乾いた笑いが起きそうだ。
だけど引っかかる事がある。
いくらなんでも他人行儀すぎるし、ここの事を何も分からないと言っていた。
みなみさんが人に対してそんな嘘をつく訳がない。
『貴方の事も何も分からないんです』
僕の束の間の癒しであり、僕の事を全て知っていて、心を照らしてくれていた
みなみさんの口から発せられた“貴方”という言葉は僕を動揺させるには十分すぎるぐらいだ。
一連のみなみさんの様子に納得がいった今では、少し安心している自分も居る。
壁を感じる言動も全てが記憶喪失が理由だとすれば、これはチャンスなのではとすら思えた。
組織にこれ以上狙われない様にする為は勿論
今の立場で時間は取れないし
そして何よりもみなみさんに悲しい思いをして欲しくないから
僕はあの時あの決断を下した。
離れたく無かったし欲を言えば受け入れないで欲しかった。
決めるのはみなみさんだ。
彼女の決断は尊重したい。
だが、みなみさんに赤井の事を話したら混乱を招きそうだ。
それは僕だって同じだ。今は自分の事を話せそうにない
赤井には言いたくなかった。
このままみなみさんを公安が匿って奪い去りたい。
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