第23章 追憶の果て
グラスを持つ手にはブレスレットが輝いていて、それが何よりも嬉しい事でもあった。
『時間って本当にあっという間ですね...』
「そうだな。少々名残惜しいな」
『はい...でも、向こうに戻ってもまた赤井さんと一緒に居れるって思うと楽しみです』
「それが聞けて何よりだ。その言葉に嘘は無いだろう?」
『えっ?はい、勿論です』
「もしかしたら、みなみに迷いが生じているのかと思ってだな」
『迷い?』
「本当に俺と一緒に帰るという決断が最適なのかどうかだ」
『成程...まあ、確かに急にこの世界での出来事が蘇ったり少し寂しい所はあったんですけど...』
『私の気持ちは揺らがないですよ。ずっと赤井さんと一緒に向こうで生きていきたいって思っているので』
普段なら少し照れくさくて言えない様な言葉だけど、お酒の力を借りつつも
赤井さんの目を見ながら真っ直ぐに気持ちを伝えた。
一瞬目を見開いて驚いた様子だったけど、直ぐに満悦そうな表情に変わった赤井さん。
「勿論だ、心から安心しているよ。お前と同じ思いで居れて何よりだ」
手を重ねる赤井さんの手にも、自分の手にも輝いているブレスレットが自分達を結び合わせている様にも見えた。
『私、自分で言うのもなんですけど、あの頃よりも遥かに精神的にも明るくなれたんです。それは紛れもない、赤井さんを始め他の優しい皆にも助けられて』
『だから...改めて、本当にありがとうございます。私なんかでも何か力になれる事があったら言ってくださいね』
「みなみ...」
赤井さんはまた少し驚いた様子だった。
だけど直ぐに笑みを浮かべてくれた。
「そいつも何より嬉しい報告だな、俺もお前の存在に幾度と救われていた、だからこの先もそのまま頼んだぞ」
『はい、勿論です!』